こばと会の取り組み

「環境評価スケール」とは?

こばと会では、2016年度より「保育環境評価スケール(ECERS-R)」を導入し、保育の質を客観的に振り返る取り組みを続けています。この評価ツールはアメリカで開発され、現在では世界20か国以上で活用されています。こばと会では研修や勉強会を重ね、保育現場の向上に役立てています。

保育の可視化と共有

評価は、保育室の環境構成や保健衛生、安全、子どもとの関わりなど35項目をもとに行います。評価項目を元に、保育者同士が「なぜその保育を行っているのか」を話し合い、保育の目的や意図を深く理解する場が生まれます。単なるチェックではなく、子どもの学びをどう支えるかという本質を見つめ直すツールとして活用されています。

法人全体での長期的な取り組み

こばと会ではこの評価システムを法人全体に浸透させるため、以下のような段階的アプローチを実施してきました。

  1. 全職員にテキストを配布し、共通理解の土台を整備
    1. 保育環境評価スケール ① 幼児版  Early Childhoood Environment Rating Scale (ECERS-3) ?
    2. 保育環境評価スケール② 乳児版  Infant/Toddler Environment Rating Scale (ITERS-R) ?
    3. 新・保育環境評価スケール④放課後児童クラブ  School-Age Care Environment Rating Scale(SACERS)?
  2. テキストに沿って各施設で評価判定。結果を法人会議で共有しフィードバックを実施
    1. ポイント)最初は個々人でスケールの捉え方が違うことが判明。評価する際ポイント、焦点を合わせることが大切
  3. 評価基準の認識を揃える勉強会を実施し、法人全体でアセスメントを実施
    1. ポイント)尺度や定義のずれをなくす。広さ、落ち着く、柔らかい、静かななど、それはどういう意味か認識や価値観・目線を合わせる
  4. 各施設に持ち帰って相談・保育の見直しを行う
  5. 施設間での相互見学・相互評価を通して客観的な視点を深める
  6. 共通の価値観・目線を法人全体で醸成

こうしたステップを経て、単なる評価ではなく、「保育を良くするための対話のツール」として機能し始めています。

 


保育環境評価スケール」は、保育の質を育てる“共通のものさし

「保育環境評価スケール」は、こばと会にとって 保育の質を育てる“共通のものさしです。職員同士が語り合い、学び合い、保育を磨いていくプロセスそのものが、私たちの大切にしている「子どもの育ちを支えるチーム保育」の土台となっています。

【保育者の成長と意識の変化】

  • 言いづらいことも率直に伝え合える関係性が育ち、チームとしての一体感が向上
  • 多様なキャリアの職員が率直に意見を言える風土が整い、保育の見直しが活発に
  • フィードバックの共有により、改善点が具体的になり、保育環境や関わり方が進化
  • 評価に関わることで互いの立場や保育観への理解が深まり、モチベーションが向上
  • 「子どものために」という共通の価値観が明確になり、法人全体としての軸が強化

 

 

【実際の保育の変化】

  • 子どもの発達や非認知能力に対する理解の深まり
  • 言葉かけや関わり方がより丁寧・穏やかに
  • 衛生管理や環境構成の改善(壁面装飾、子ども作品の展示方法など)
  • 改善のスピードが向上し、継続的な成長サイクルが生まれる

 

【継続的な取り組みとして】

  • 評価は年1回ではなく、継続的に実施することが重要
  • 項目を絞って実施することで、観察のハードルを下げ、理解を深めることが可能
  • 法人内に評価スケールの理解者を増やすことで、全体で取り組める体制を整備
  • 年間計画に組み込み、各施設ごとに自発的に評価する文化を育てる
  • 法人内外での見学・交流も取り入れ、学び合いの場を広げている