· 

2025年度 第3回地域子育て支援拠点ネットワーク会議(多摩センター地域)

第3回目となる地域子育て支援拠点(多摩センター地域)ネットワーク会議が行われました。今回は地域の子育て支援の連携を一層深めるために、多摩市こども家庭センター職員から多摩市母子保健事業の全要を説明いただく機会としました。妊娠中から子育て期まで、市内でどのようなサポートがあるのかを知り市内全体で抱える問題を把握できる、とても貴重な機会となりました。こばと会からは、元井理事長、あおぞらぱれっと保育園の比企園長、たまっこ職員2名が参加しました。

子育て家庭を取り巻く今の状況

 

現在、子育て家庭を取り巻く環境は大きく変化しています。

核家族化や共働き世帯の増加により、身近に相談できる人がいない家庭も少なくありません。
また、インターネットやSNSによる情報の多さが、かえって不安を強める要因になることもあります。

さらに、

  • 産後うつの可能性は約10人に1人

  • 低出生体重児も約10人に1人

  • 児童虐待の問題は依然として深刻

 

といった現状があり、子育てを家庭だけで抱え込まない仕組みが求められています。

① 妊娠期から始まる支援


「ゆりかごTAMA妊婦面接」

多摩市では、妊娠届の提出時にすべての妊婦を対象に面接を行っています。

この「ゆりかごTAMA妊婦面接」では、

  • 体調や生活状況

  • 家族のサポート体制

  • 不安や困りごと

などを丁寧に確認し、必要な支援につなげています。

 

また、面接を受けた方には一人ひとりに合わせた支援計画が作成され、その方に合ったサポート内容を一緒に考えてもらえるので、

「一人じゃない」と感じられるきっかけにもなります。

 

令和6年度は
**妊娠届出658件、面接実施率97.1%**と、

 

ほぼすべての方が面接を受けています。

 

そのうち
約34.4%の家庭がフォロー対象となっており、

・母親のメンタル面
・支援者不足
・経済状況
・父母の特性

 

など様々な理由で継続支援が必要となっています。

 

また、妊娠・出産に伴う
経済的負担を軽減する
支援も

充実してきていることがわかりました。

現在多摩市では、

  • 妊娠時:5万円

  • 出産後:5万円

あわせて10万円相当の助成をしており、

国や東京都からの経済的支援も含めると子育て家庭への経済的支援は

拡充してきているようです。

 

また、妊婦だけでなくパートナーも対象とした歯科健診など、

新しい取り組みも始まっています。
 

② 出産後の"切れ目のない"支援

 

出産後も、子どもの成長に合わせて継続的な支援が行われています。

主な流れは次の通りです。

  • 新生児訪問(こんにちは赤ちゃん訪問)

  • 乳児健診(3〜4か月、6〜7か月、9〜10か月)

  • 1歳・1歳6か月・3歳児健診

これらの場では、発達の確認だけでなく、

  • 育児相談

  • 栄養相談

  • 心理相談

 

など、保護者へのサポートも行われています。

 

産後の母親を支えるため、産後ケア事業も充実しています。

利用方法は3種類あります。

  • 通所型(1回500円・最大7回)

  • 訪問型(1回500円・最大5回)

  • 宿泊型(1泊約3000円・最大6泊7日)

 

令和7年度からは施設数も増え、

より利用しやすくなっています。

 

地域で支える子育て

 

多摩市では、子ども家庭センターを中心に、

・保育園
・幼稚園
・医療機関
・児童館
・社会福祉協議会
・NPO

など、地域の様々な機関と連携して子育て支援を行っています。

 

支援は、

ポピュレーションアプローチ
(すべての家庭への支援)

ハイリスクアプローチ
(特に支援が必要な家庭)

 

の両方を組み合わせて実施されています。

 

今後の課題

 

説明の中では、今後の課題についても共有されました。

  • 妊婦の約8割が就労しており支援につながりにくい
  • 産後ケアの需要増加
  • 支援者のいない家庭
  • 外国人家庭への対応
  • プレコンセプションケア(妊娠前からの健康教育)

 

特に、児童虐待による死亡事例の多くが0歳児であることから、
妊娠期からの早期支援の重要性が強く示されました。

 

 

その中で「連携」の重要性が改めて共有されました。

 

連携とは、

同じ目的を持つ人同士が
互いに連絡を取り合い
協力して取り組むこと

  • 双方向のやりとり

  • 役割分担

  • 日々の積み重ねによる信頼関係

が重要であると説明がありました。


 市職員からの説明後は、参加者同士で地域連携について意見交換が行われました。

各グループからは、現場の実感に基づいたさまざまな意見が出されました。

 

 

■「何に困っているか」を明確にすることが大切


「負担を減らす」といった抽象的な目標ではなく、

・どの業務が大変なのか
・どんな支援があれば助かるのか

を具体的にすることで、より実効性のある連携につながるのではないか、という意見がありました。

また、保育園の日常の中で自然に情報共有を行ったり、保健師が園の行事に参加することで、

無理のない形で連携できるのではないかという提案もありました。

 



■限られた人員の中での現実的な連携


現場では支援のニーズが多く、すべてに対応することが難しい状況があります。

そのため、

・優先順位を明確にすること
・できること・できないことを共有すること

が重要であり、現実的な視点での連携の必要性が指摘されました。



■幼稚園も含めた連携の広がり


現在は保育園との連携が中心ですが、

1歳・2歳児の預かりなどでは幼稚園も関わっていることから、
幼稚園も含めた情報共有の場が必要ではないかという意見がありました。

より広い視点での連携の必要性が示されました。



■支援が必要な家庭ほど利用しにくい現状


特に多くの共感を集めたのが、

「本当に支援が必要な家庭ほどサービスにつながりにくい」

という課題でした。

予約制のサービスなどでは、

・情報を集められる家庭
・手続きが得意な家庭

が利用しやすく、結果として支援が必要な家庭が

取り残されてしまうことがあるという指摘がありました。



■支援の視点を広げる必要性


現場ではハイリスク家庭への対応が中心になりがちですが、

・すべての家庭への関わり
・日常の中での気づき

も大切にしていく必要があるという意見がありました。

また、「必要な人ほど声を上げにくい」という現実も共有されました。



■人員不足と連携の工夫


どの現場でも人員不足は共通の課題として挙げられました。


その中で、

・園との連携を深める
・出前型の支援を取り入れる
・地域全体で見守る体制をつくる

といった工夫の必要性が話し合われました。



■子育てを支える新しい視点


最後に、

・子育ての価値をもっと発信していくこと
・保護者自身の理解を深める支援

の重要性についても意見があがりました。

子育てを「大変なもの」だけでなく、
成長や学びの機会として捉える視点も大切であるという気づきが共有されました。


 

今回のディスカッションを通して、

  • 支援の必要な人にどう届けるか

  • 限られた人員の中でどう連携するか

  • 地域全体でどう支えるか

といった課題が改めて浮き彫りになりました。

同時に、現場の工夫や前向きなアイデアも多く共有され、
地域で子育てを支えるためのヒントを得る時間となりました。

 

 

今回の会議を通して、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行うために、多くの関係機関が連携していることを改めて知ることができました。

 

子育ては家庭だけで抱えるものではなく、地域全体で支えていくことが大切です。

 

こばと会としても、地域の子育て支援の一員として、保護者や子どもたちが安心して過ごせる環境づくりに引き続き取り組んでいきたいと思います。